財源をどう賄うか


既存予算の組み替えで実現する

私たちの提案の総額は、初年度で約1.3兆円、10年後でも約2.3兆円弱です。

財源は、増税でも新しい基金でもありません。こども家庭庁、文部科学省、厚生労働省という、今すでにある予算の使い道を組み替えることで実現します。

以下、その内訳と根拠を説明します。


総額とその賄い方


①総額は、初年度1.3兆円、10年後でも2.3兆円弱。
3本の矢すべてを合わせても、こども家庭庁の年間予算(約7.5兆円)の2〜3割、国の一般会計(約122.3兆円、令和8年度)の1.1〜1.8%に収まる規模です。


②新税は必要ない。
既存の児童手当・大学無償化・雇用保険・国立大学運営費交付金・地方交付税といった、すでにある予算の配分を組み替えることで賄います。


③新しい組織もつくらない。
こども家庭庁・文部科学省・厚生労働省が、それぞれの持ち場で、今の仕組みのまま実行します。

① 第一の矢:2人目を持ちやすい国へ


教育費(2人目以降の大学等無償化)・2人目子ども手当、2本セットの費用です。すでに公表されている統計(出生動向基本調査、住民基本台帳、学校基本調査等)をもとに算出しています。


時点 教育費 2人目子ども手当 合計
来年(初年度) 約0.39兆円 約0.80兆円 約1.19兆円
5年後 約1.02兆円 約1.03兆円 約2.05兆円
10年後 約1.02兆円 約1.15兆円 約2.17兆円

教育費が5年後にかけて増えるのは、制度開始後、在学者が全学年そろって定常額に達するためです。子ども手当が年々増えるのは、政策効果で2人目を選ぶ世帯が増えていくという「狙い通りの結果」を反映しています。


賄い方:

  • 大学等授業料無償化は、2025年度から「3人以上世帯・所得制限なし」ですでに実施中。私たちの提案は、この対象を2人目まで広げ、上限を国立大学水準まで無償化する差額分を新たに手当てするだけ
  • 2人目子ども手当は、既存の児童手当の仕組みに上乗せする形で、こども家庭庁の子育て支援関連予算の中に新設

詳しい試算の根拠はこちら  → 1. 2人目を持ちやすい国へ

② 第二の矢:病気になる人を減らす国へ


ドラッグストアの相談窓口機能拡充、健康ネット・健康定期便のシステム構築、公共空間への空気清浄インフラ導入。この3本柱にかかる費用です。


これらは、すでにある店舗・仕組みを活用する提案が中心のため、教育費のような大規模な新規支出にはなりません。

項目 内容 年間コスト(概算)
健康ネット・健康定期便 システム構築(初期)・運用 初年度約0.05兆円/以降約0.01兆円
ドラッグストア相談窓口 研修・体制整備の補助 約0.02兆円
空気清浄インフラ 学校・保育園・介護施設等への導入補助 約0.03兆円
合計 初年度約0.10兆円/以降約0.06兆円

※ この項目は、実施設計(補助率・対象施設の範囲など)によって金額が変動する、概算・目安の数字です。第一の矢の試算ほど精緻な根拠には基づいていません。

詳しい内容はこちら  → 2. 病気になる人を減らす国へ

③ 第三の矢:地方が輝く国へ


国立大学の定員拡充と、私立大学の公立化支援にかかる費用です。

項目 内容 年間コスト(概算)
国立大学の定員拡充 運営費交付金の増額分 約0.015兆円
私立大学の公立化支援 移行支援(公立化後は主に地方交付税で措置) 約0.005兆円
合計 約0.02兆円

※ 私立大学の公立化は、実際に全国で先例のある仕組み(地方交付税措置を活用した公立化)をベースにしており、国が全額を新たに負担するものではありません。

詳しい内容はこちら  → 3. 地方が輝く国へ

④ 3本の矢、合計でいくら必要か

時点 第一の矢 第二の矢 第三の矢 合計
来年(初年度) 約1.19兆円 約0.10兆円 約0.02兆円 約1.31兆円
5年後 約2.05兆円 約0.06兆円 約0.02兆円 約2.13兆円
10年後 約2.17兆円 約0.06兆円 約0.02兆円 約2.25兆円

⑤ この金額は、大きいのか

数字だけを見ると、大きな金額に感じるかもしれません。しかし、既存の予算規模と比べると、決して無理のある数字ではありません。

比較対象 規模 私たちの提案(10年後)の割合
こども家庭庁の年間予算(2026年度) 約7.5兆円 約29%
社会保障給付費(2025年度予算ベース) 約140.7兆円 約1.5%
国の一般会計歳出総額(令和8年度予算案) 約122.3兆円 約1.8%
国の税収(令和8年度見込み) 約83.7兆円 約2.6%

また、児童手当(現行約2.2兆円)や、既存の大学無償化予算など、すでにある子育て関連予算の中で、配分を見直すだけで対応できる部分も少なくありません。「新たに数兆円を捻出する」という規模の話ではなく、「今ある予算の1〜2割を組み替える」規模の話です。


⑥ 傷口が小さいうちにふさぐ


教育費実質無償化と2人目子ども手当はこども家庭庁の予算の中で。
健康インフラの整備は厚生労働省の枠組みの中で。
大学と地域の再興は文部科学省の政策の中で。


今すぐ、今の仕組みのまま、動き出せる。

少子化も、医療費の増加も、地方の衰退も、放っておくほど傷口は広がり、塞ぐための費用も時間も膨らんでいきます。


傷口が小さいうちにふさぐ。

そのために必要なのは、今ある予算の使い道を、少しだけ勇気を持って動かすことです。