病気になる人を減らし、医療費の増加を抑止する


2つの目標を、今のうちに

私たちが健康インフラの整備で目指すのは、次の2つです。


① 将来の国の予算を食いつぶし、社会保障制度そのものを蝕みかねない医療費の増加を、今のうちに抑え込むこと。

② 出生数が上向くまでの20年間、社会を支える人を増やすために、健康で働き続けられる高齢者を増やすこと。


この2つの目標を実現するために、私たちはドラッグストアの活用、健康管理のDX化、空気環境の改善という3つの柱を提案します。



結論の根拠:数字で見る、2つの緊急性


医療費は、すでに国家予算を圧迫している。
2023年度の国民医療費は48兆915億円で過去最高を更新し、対GDP比は約8.1%に達しています。2000年度以降、年率約2%のペースで増加を続けており、このまま推移すると2040年度には約80兆円(対GDP比約10%)に達すると推計されています。医療・介護・年金を合わせた社会保障給付費は、2025年度予算ベースで140.7兆円、対GDP比22.4%と過去最高を更新しました。


健康な期間と、そうでない期間の差は、想像以上に大きい。
2024年の平均寿命は男性81.09歳、女性87.13歳です。一方、日常生活に制限なく過ごせる「健康寿命」は男性72.57歳、女性75.45歳(2022年)にとどまります。その差は男性で約8.5年、女性で約11.6年。この期間に、医療費と介護費の多くが集中して発生しています。

出生率を高める政策が効果を上げても、その子どもたちが働き手として社会を支えるまでには20年以上かかります。だからこそ、今すでにいる世代の健康寿命を延ばし、医療費の増加ペースを抑えることが、少子化対策と並行して進めるべき「即効性のある一手」だと私たちは考えています。

① 既存インフラの活用 ー ドラッグストアを地域の健康拠点へ


医療費の増加を抑えるためには、病気になった後の治療だけでは限界があります。

大切なのは、病気が重症化する前に気づき、早めに対応することです。


しかし、そのために新しい施設を全国へ整備する必要はありません。

私たちの身近には、すでに全国各地に広がる健康インフラがあります。

それがドラッグストアです。


   少し熱っぽい。

   喉が痛い。

   健康診断の結果が気になる。


そんな時、多くの人は病院へ向かいます。


受診は大切です。

しかし実際には、薬剤師への相談や市販薬の活用で改善できるケースも少なくありません。

また、ドラッグストアの多くは病院よりも営業時間が長く、土日や夜間も営業しています。


   平日の仕事帰り。

   夕食後の異変。

   休日の体調不良。


病院が閉まっている時間帯でも相談できることは、大きな安心につながります。


   救急車を呼ぶほどではない。

   でも少し不安。


そんな時に気軽に立ち寄れる場所としても、ドラッグストアは大きな役割を果たせるかもしれません。


また、近年はAIによる健康相談も急速に進化しています。


   まず自分でAIに相談して症状や状況を整理する。

   必要に応じてドラッグストアへ相談する。

   そして本当に診察が必要な場合は病院を受診する。


こうした流れが定着すれば、軽い症状への対応が早まり、本当に医療が必要な人へ医療資源を集中しやすくなります。

病院だけに頼る社会から、地域全体で健康を支える社会へ。

その移行の主役が、全国にあるドラッグストアです。。



② 健康管理のDX化 ー 「健康ネット」と「健康定期便」

※DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して暮らしや社会の仕組みをより便利にしていくことです。


病気は突然見つかるように見えます。

しかし実際には、その前に様々なサインが現れていることも少なくありません。


   体重の増加

   血圧の上昇

   歩数の減少

   健康診断の数値変化

   尿酸値の上昇

   コレステロール値の変化 など


こうした小さな変化は、将来の病気につながる可能性があります。

しかし、多くの人は健康診断の結果を一度見ただけで、そのまま忘れてしまいます。


そこで私たちは、「健康ネット」と「健康定期便」という仕組みを提案します。

年金には、自分の年金記録を確認できる「ねんきんネット」があります。

私たちは同じように、自分の健康状態を確認できる「健康ネット」があっても良いと考えています。


   体重

   血圧

   歩数

   健康診断の結果

   血液検査の結果 など


こうした情報を継続的に蓄積することで、自分自身の健康状態を把握しやすくなります。


さらに、AIが健康状態の変化を分析し、「健康定期便」として定期的にお知らせを届けます。


   尿酸値が上昇しています。

   血圧が少し高くなっています。

   昨年より歩数が減っています。


そんな変化を早めに知ることで、生活習慣の改善や早期受診につなげることができます。


参加は希望者のみです。

強制ではありません。


自分の健康を知りたい人が、自分の意思で参加する仕組みです。

病気になってから治療する社会から、病気になる前に気づける社会へ。

健康ネットと健康定期便は、そのための新しい健康インフラです。



③ 空気環境の改善 ー 空気を整えて感染症を減らす


病気になった人を治療することは大切です。

しかし、病気そのものを減らすことができれば、さらに大きな効果が生まれます。

私たちは毎日の大半を室内で過ごしています。


   学校

   保育園

   職場

   介護施設

   商業施設

   イベント会場 など


こうした場所の空気環境は、私たちの健康に大きな影響を与えています。

感染症の多くは、人が集まる室内空間で広がります。

だからこそ、治療だけでなく、感染そのものを広げにくくする工夫が重要になります。


   換気

   空調設備の最適化

   空気清浄技術の活用 など


これらを組み合わせることで、病気が広がりにくい空間をつくることができます。

未来の学校では、インフルエンザや感染症による学級閉鎖が減るかもしれません。

未来の職場では、体調不良による欠勤が減るかもしれません。

未来の高齢者施設では、集団感染や重症化のリスクが下がるかもしれません。


一人ひとりの予防努力も大切です。

しかし個人の努力だけでは限界があります。

だからこそ、建物そのものが健康を支える仕組みを整える必要があります。

私たちは、空気環境を道路や水道と同じ社会インフラとして考える時代が来ると考えています。


病気が広がってから対応する社会から、病気が広がりにくい社会へ。

空気環境の改善は、そのための重要な一歩です。



④ 病気になる前に防ぐ3つの仕組み


ここまで3つの取り組みを紹介してきました。

一見すると、それぞれ別の取り組みに見えるかもしれません。

しかし、目指している方向は共通しています。


病気になった後に対応するだけではなく、病気になる前に対策することです。


   ドラッグストアは、体調の変化に早く気づき、気軽に相談できる場所になります。

   健康ネットは、自分自身の健康状態の変化を見える化し、早期発見につなげます。

   空気環境の改善は、感染症そのものが広がりにくい社会をつくります。


つまり3つとも、病院へ行く前の段階で病気を減らすための仕組みなのです。


ドラッグストア。 健康ネット。 空気環境。

3つの取り組みは別々に見えますが、目指している方向は同じです。

病気になってから対応する社会から、病気になる前に防ぐ社会へ。

病気を減らし、重症化を防ぎ、健康寿命を延ばす。

その結果として医療費の伸びを抑え、生まれた余力を次の世代への投資へつなげていく。


病気を減らし、元気に暮らせる人を増やす。

それが、私たちの目指す医療費抑制の形です。

そして生まれた余力を、子育てや教育、地方づくりなど、次の世代のための取り組みへつなげていきます。



⑤ 健康寿命の延伸という副次効果


出生率を高める取り組みが成果を上げても、その子どもたちが社会を支える世代になるまでには20年以上の時間が必要です。


一方で、健康インフラの整備は比較的早い段階から効果を生み出します。

ドラッグストアによる相談体制。 健康ネットと健康定期便による健康管理。 空気環境の改善による感染症対策。


こうした取り組みは、病気の予防や早期発見を進め、健康寿命の延伸につながります。


病気を予防する。 健康状態の変化に早く気づく。 健康寿命を延ばす。 元気に活動できる期間を増やす。


その積み重ねによって、経験や知識を持つ世代が、より長く社会で活躍できるようになります。

人口減少が進む日本では、こうした健康寿命の延伸が、社会や経済を支える大きな力になります。


健康インフラの整備による健康寿命の延伸は、人口減少時代を支え、次の世代へより良い社会を引き継ぐ力にもなります。

それも健康インフラがもたらす、もう一つの価値です。